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皮膚科での代表的なシミ治療といえば、レーザー治療でしょう。でも、ひと言で「レーザー治療」といってもさまざまな種類があり、症状やシミの状態によって効果的な治療法は異なります。今回は、レーザー治療の中でもとくに肝斑(かんぱん)に効果が高いとされる「ピコトーニング」についてご紹介します。

ピコトーニングとは

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レーザーによるシミ治療は、レーザーのエネルギーをシミのもとであるメラニン色素に照射しそれを破壊することで、シミを改善していくものです。一般的な加齢に伴うシミ(老人性色素斑)の場合、高い出力で熱エネルギーをピンポイントに照射するレーザー治療機器を用いることがありますが、ピコトーニングは低出力のレーザーを数回に分けて照射することで、肝斑などを改善したり肌全体のトーンアップを図ったりする治療法です。一般的なシミとは違い、肝斑は女性ホルモンや紫外線、スキンケア時の摩擦など複数の要因が絡み合って発生すると考えられています。また、治療が難しい点も肝斑の特徴です。

お伝えしたように、一般的なシミ治療では、高出力のエネルギーを一点に集中させるレーザー治療が効果的な場合が多いのですが、この方法で肝斑を治療しようとすると、メラニン色素を出すメラノサイトを刺激して、かえって肝斑を悪化させてしまうリスクが高いことが知られています。こうしたことから専門医の間でも、肝斑は治療が難しいシミと言われています。そのため、肝斑はレーザー治療ではなく、トラネキサム酸などの内服治療などが主流とされてきました。

けれどもその後、低出力のレーザーを照射する「レーザートーニング」を複数回行うことで肝斑が改善することが広く知られるようになり、メラノサイトを刺激するリスクを抑えてレーザー治療ができるようになりました。

ピコトーニングは、そんなレーザートーニングの最新版とも言われる治療法です。レーザートーニングのように低出力のレーザーを均一に照射していく治療法ですが、レーザーの照射時間がより短い上に、より高い効果も期待できます。そこで、ピコトーニングの特徴をもう少し詳しくご紹介していきましょう。

ピコトーニング

ピコトーニングの特徴

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ピコトーニングの特徴として、大きく次の3つが挙げられます。

より高い効果が期待できる

従来のレーザー治療では熱エネルギーでメラニン色素を破壊していましたが、ピコトーニングでは、レーザーの衝撃波でメラニン色素を細かく粉砕します。破壊されたメラニン色素は肌の新陳代謝の過程で出ていきますが、細かいほうが排出されやすいため、ピコトーニングではより少ない治療回数で、効果的に肝斑やシミを改善することができます。また、周辺に熱エネルギーが伝わりにくいため、肌の炎症や炎症後色素沈着のリスクが低いと言われています。

ダウンタイムが短く肌へのダメージが少ない

ピコトーニングの「ピコ」は、パルス幅(照射時間)が「ピコ秒(1兆分の1秒)」であることに由来しています。レーザートーニングはパルス幅がナノ秒(10億分の1秒)なので、ピコトーニングではさらに短いパルス幅で照射が可能です。周辺の正常な肌へのダメージを抑えることができるため、ダウンタイムがより短く、治療中の痛みを軽減することができます。

肝斑以外の肌悩みにも効果を発揮

ピコトーニングは肝斑やシミ・そばかす以外にも、くすみ、肌のトーンアップ、毛穴の開き、小ジワ、ニキビ跡といった様々な肌悩みの改善に効果を発揮します。

ピコトーニング治療を検討する際に知っておきたいこと

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ピコトーニングに興味が出てきた人もいるでしょうが、治療中の痛みやダウンタイム、治療回数などが気になるところです。そこで、治療を検討する際に知っておきたいポイントをまとめます。

治療中の痛み

従来のレーザー治療よりも痛みは少ない治療法ではありますが、中にはヒリヒリとした痛みを感じる人もいます。痛みが強い場合には、治療中でも我慢せずに申し出ましょう。

ダウンタイム

治療後に痛みやヒリヒリ感、腫れ、赤みなどの症状が出ることがありますが、翌日には落ち着くことがほとんどです。ほてりなどが気になる場合は、保冷剤などで冷やすと楽になるでしょう。また、治療後は乾燥しやすく、紫外線の刺激にも敏感なため、保湿ケアや紫外線対策をしっかり行うことが大切です。

洗顔や入浴などは治療当日から可能ですが、治療部位をこすらないように注意しましょう。またメイクは当日からできますが、肌が敏感な状態なため、できれば翌日まで待つほうが安心です。

なお、治療の副反応として治療から数日以内にニキビや水ぶくれなどが出ることがありますが、これらも徐々に改善していきます。

治療時間

レーザートーニングに比べて1回あたりの治療時間が短く、顔全体に治療を行った場合でも20分ほどで完了します(レーザートーニングは20~30分が目安)。

治療回数

肌の状態によっても異なりますが、肝斑の場合は1ヶ月に1度の頻度で、6~10回ほどが目安です。少しずつ改善していく治療法のため、焦らずじっくり治療を続けましょう。

ピコトーニングを受けられない人

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次の項目に該当する人はピコトーニングを受けられないため、注意が必要です。

・妊娠中の人、またはその可能性がある人

・日焼けをしている人

・光線過敏症の人

・てんかん発作の既往歴がある人

・顔に金属が入っている人

・過去にリウマチなどの治療で金製剤を服用したことがある人

そのほか、入れ墨やアートメイクをしている人は事前に医療者へ伝えておきましょう。安心して治療を受けられるように、カウンセリングの際に注意事項や禁忌事項を頭に入れておくことが大切です。

自分に合った治療法が知りたい人は皮膚科に相談を

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今回は、肝斑などの改善に効果的なピコトーニングをご紹介しました。「受けてみたい!」と思った人もいるでしょうが、はじめにお伝えしたようにシミ治療にはたくさんの手段があり、レーザー治療だけでも複数の方法があります。そのため、自分に合った方法を知りたい人はぜひ皮膚科で相談してみると良いでしょう。自分にぴったりの方法を見つけて、理想の肌に近づきましょう。

まとめ

  • ピコトーニングは、低出力のレーザーを照射するレーザートーニングの最新版とも言われる治療法で、肝斑などに有効
  • ピコトーニングは、レーザーの衝撃波でメラニン色素を細かく粉砕するため、より少ない治療回数で、効果的に肝斑やシミを改善することができる
  • ピコトーニングは、炎症や炎症後色素沈着を起こすリスクが低い
  • ピコトーニングは照射時間が少ないため、周辺の正常な肌へのダメージを抑えることができ、ダウンタイムの短縮化や治療中の痛みの軽減が可能
  • ピコトーニングは肝斑やシミ以外にも、くすみ、肌のトーンアップ、毛穴の開き、小じわ、ニキビ跡といったさまざまな肌悩みの改善に効果を発揮する
  • 1回あたりの治療時間は、顔全体に治療を行った場合20分ほど
  • 肝斑の場合は1ヶ月に1度の頻度で、6~10回ほどが治療回数の目安
文/品川美容スタッフ

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