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脂質からエネルギーを作り出すことに関わる「L-カルニチン」。

とくにダイエット中の人にとって、効率的にエネルギーを作り出せることは、魅力的でしょう。では、本当にLカルニチンはダイエットに有効なのでしょうか。その働きや摂り方について、詳しくご紹介します。

L-カルニチンとはどんな栄養素?

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L-カルニチンはアミノ酸の一種です。アミノ酸はたんぱく質を構成する成分で、生命の維持に欠かせない栄養素です。

アミノ酸には多くの種類がありますが、たんぱく質を構成するのは全部で20種類です。このうち体内で作ることができないアミノ酸を「必須アミノ酸」、体内で作ることができるアミノ酸を「非必須アミノ酸」と呼んでいます。

L-カルニチンは後者で、必須アミノ酸の「リジン」と「メチオニン」をもとに、体内で合成されています。合成の過程ではほかにビタミンC、ナイアシン、ビタミンB6、鉄が必要です。L-カルニチンは体内で合成される以外に食事からも補われているので、健康な人であれば不足することはほとんどありません。

L-カルニチンの働き

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L-カルニチンには、次のような働きがあります。

エネルギーの産生に関わる

ヒトの細胞内にある「ミトコンドリア」では、糖質や脂質からエネルギーが作り出されています。L-カルニチンは、脂質のエネルギー源となる脂肪酸をミトコンドリアに運んでいます。ミトコンドリア内に入った脂肪酸は、燃焼されてエネルギーに変わります。つまり、脂質を効率的にエネルギーに変える上で、L-カルニチンは重要な役割を担っているというこ

とです。ちなみに、エネルギーに変換されない脂肪酸は体脂肪として溜め込まれていきます。ですから、L-カルニチンは体脂肪を過剰にため込まないためにも重要な栄養素なのです。

老化を抑える

ミトコンドリアの中に不要物が溜まっていくと、その機能が低下し、老化の一因になることがわかっています。L-カルニチンには、ミトコンドリアの不要物を外に運び出し、正常な働きをサポートする働きがあり、老化を予防する可能性が注目されています。

L-カルニチンが不足しやすい人

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L-カルニチンは体内で合成することができるため、基本的に不足することはありません。ただし、骨格筋や肝臓、脳など、代謝が高い組織に多いので、骨格筋量の少ない乳幼児、女性、高齢者などは、L-カルニチンが不足しやすい可能性があります。

また、食生活が乱れている人も注意が必要です。L-カルニチンはとくに赤身の肉類や乳製品に多く含まれているので、アミノ酸の供給源であるたんぱく質食品、とくに肉や乳製品を極端に避けている人は要注意です。さらに、合成の過程ではビタミンCなどほかの栄養素も必要なので、野菜や果物が不足している人も、L-カルニチン不足に陥る可能性があります。

このほか遺伝性の疾患や、体内のL-カルニチンの量を調整する腎臓の機能障害などの持病がある人は、健康な人よりもカルニチン欠乏を起こすリスクが高くなります。

L-カルニチンが多く含まれる食品

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カルニチンは次の食品に多く含まれます。

  1. ・羊肉や牛肉、鶏肉などの赤身部分
  2. ・牛乳、チーズなどの乳製品
  3. ・タラ
  4. ・全粒粉
  5. ・アスパラガス
  6.  

また、カルニチンの原材料であるリジンやメチオニンは、次のような食品に多く含まれます。

  1. ・リジン:肉類、魚介類、卵、チーズ、納豆、きなこ、蕎麦など
  2. ・メチオニン:肉類、魚介類、チーズ、卵など
  3.  

なお、先ほど述べたように、L-カルニチンの合成にはビタミン、ミネラルが必須なので、まずはバランスのよい食事を心がけることが大切です。

その上で、これらの食品を積極的に摂るようにしましょう。

L-カルニチンを摂ったほうがダイエット効果は上がる?

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L-カルニチンは脂肪燃焼に関わる栄養素ですが、摂れば摂るほど脂肪が燃える、というわけではありません。むしろ過剰摂取をすると、健康に害を及ぼす可能性があります。

L-カルニチンの摂取上限量は1日あたり2,000 mgで、過剰摂取により、悪心、吐き気、嘔吐、胸焼け、急激な腹痛、胃炎、下痢、体臭、けいれん、湿疹、頭痛などが起こることが知られています。

食事からの摂取で1日の上限量を超えることはありませんが、サプリメントなどで補う場合には、用法用量を守るようにしましょう。

また、妊娠中の安全性については信頼できる十分なデータがないので、サプリメントなどは摂取しないほうが安心です。

まとめ

  • L-カルニチンはアミノ酸の一種で、体内でも作ることができる
  • L-カルニチンは脂質のエネルギー産生に深く関わっている
  • L-カルニチンは老化を抑える働きも期待されている
  • 体内のL-カルニチンは骨格筋に多く分布しているため、骨格筋量が少ない乳幼児、女性、高齢者などでは、蓄積量が少ない可能性がある
  • L-カルニチンを多く含む肉類や乳製品を極端に避けるなど、栄養バランスが乱れた食生活をしていると不足する可能性がある
  • バランスのよい食事をとっていれば、L-カルニチンが不足するリスクはかなり低い
  • L-カルニチンを多く含む食品には、肉類の赤身、乳製品、タラ、全粒粉、アスパラなどがあるので、こうした食品をしっかり摂ることを心がける
  • L-カルニチンの合成にはビタミン、ミネラルも必要
  • 食生活が乱れている人は、サプリメントで補給することも方法の一つだが、用法用量を守って正しく摂取すること
文/品川美容スタッフ

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