210105_SBN_logo_pink.svg

h01.jpg

人間の身体にとって、なくてはならないヒアルロン酸。「ヒアルロン酸入り」の化粧品が数多く売られたり、美容整形でのヒアルロン注射が注目されたりするなど、何かと耳にしますね。そこで今回は、ヒアルロン酸の成分や摂取法についてご紹介します。

ヒアルロン酸とは、どんな成分でどう生成される?

もともとヒアルロン酸は、1934年にアメリカの大学教授らによって牛の目の中の硝子体から発見されました。2種類の糖が鎖状につながった構造をしており、ねばねばした物質であるムコ多糖類の1種です。ヒトの目や皮膚、関節、動脈、脳など、さまざまなところで大切な役割を果たしており、人間を含む動物の身体の中では、おもに数百万もの分子量をもった高分子として存在しています。体内では糖やアミノ酸を原料HAS(=hyaluronan synthase、ヒアルロン酸合成酵素)と呼ばれる酵素の働きが加わって生成されます。

しかし、身体の中のヒアルロン酸の濃度は、年齢を重ねると減少していきます。30代から減りはじめ、さらに40代では赤ちゃんの頃の約半分、60代になると約4分の1まで減少するため、肌のハリやみずみずしさを低下させる原因となります。また、動脈硬化や関節痛などを引き起こしやすくなります。

ヒアルロン酸の働きや効果とは?

ヒアルロン酸はとても高い保水力を持ち、1gで6Lもの水分を保持することができます。体内ではおもに細胞と細胞の間に存在しており、水分を保持するだけでなく、細胞を守るクッションの役割も果たしています。

具体的には肌の弾力性や保湿性の保持、シワ・たるみなどの肌トラブルの予防、また細胞を活性化したり、さまざまな栄養素を運搬する機能ももっています。とくにヒアルロン酸が重要な役割を担っている部分での働きと効果を順番にみていきましょう。

h02

まず、眼球の大部分を占める硝子体には、豊富なヒアルロン酸が含まれており、眼球の形を維持したり、外からの圧力などを吸収して眼球を守っています。また、ヒアルロン酸によって角膜の表面に涙をつなぎとめられており、目の潤いを保っています。そのため、目が乾き表面が傷つきやすくなるドライアイの対策として、ヒアルロン酸入りの目薬が使用されています。

ヒアルロン酸の高い保水力によって、肌はハリや弾力を保っています。皮膚は、外側から順に表皮、真皮、皮下組織の3層で構成されており、その中でヒアルロン酸は真皮に含まれています。ヒアルロン酸だけでなく、コラーゲンやエラスチンといったお肌の潤いを保つ成分は加齢によって減少します。そうして増えてくるシワ・たるみを予防する目的で、安全性の高いヒアルロン酸は、注射として美容整形にも活用されています。

関節

ヒアルロン酸は、関節と関節の間に挟まれてクッションの役割をする軟骨に含まれ、関節の動きをなめらかにしています。膝の関節は特に全身の体重の負荷がかかっているため、年齢とともに軟骨がすり減ると、痛みが生じやすくなります。そのような時の治療法として、ヒアルロン酸を軟骨に注射する場合があり、痛みを和らげたり、日常生活の動きをスムーズにする役割を担っています。

ヒアルロン酸と美容整形

このように私たちの身体にとって重要な働きをするヒアルロン酸ですが、ここまでお話したようにお肌にとっても欠かせない成分であるため、美容の分野でもその効果が注目されています。特に、美容整形などでも多く使われていますが、具体的にどのような目的で使われているのでしょうか?

h03

どんな目的で使われる?

美容整形でヒアルロン酸を使う場合、おもに以下の目的で使用されています。

(1)顔のボリューム・ハリを補う:ハリを出して表情ジワを目立たなくする、口唇をふっくらさせる、目の下や頬をふっくらさせるなど。
(2)鼻や顎などを補正する:鼻筋を通したり顎を出したりして、各パーツを整えることで印象をかえたい時などにおこなう。
(3)バストアップさせる:脇のつけ根からヒアルロン酸を注入し、バストの大きさや形を整える。

使用箇所により、注入量や柔~硬いタイプのものを選んで注入するので差はありますが、数ヶ月から1~2年ほどで吸収されて元に戻ります。従来、美容整形で多く行われてきた「手術」という方法と比べると、ヒアルロン酸注入は、処置時間が短く安価であり、また傷跡が残るリスクもほとんどなく、基本的に人体にとって安全といわれています。そのため、気軽に出来る「プチ整形」として、ここ最近、比較的よく行われるようになりました。

何に注意したらいい?

手術よりも気軽にできるとはいえ、次のような注意点があります。

・注入して数日間は、注入部位をマッサージしたり、強くこすらないようにしましょう。注入したヒアルロン酸が早く吸収してしまう可能性があります。美容クリニックやエステでのほかの施術、自宅での家庭用美顔器の使用は、一般的に注入後1週間~10日ほどあけてからが目安になります。
・注入後、針跡の部分に多少赤みが残る場合がありますが、数日でほぼ目立たなくなります。
・施行後は、直射日光は避けるようにしましょう。
・注射針で注入のため、針を刺した時、血管を傷つけて内出血や腫れをおこすことがありますが、通常1週間ほどで自然に落ち着いてきます。
・ヒアルロン酸製剤を皮膚の浅いところに注入した場合、表面が凸凹することがあります。この場合の対処法として、処置して早期の段階ではマッサージしてなじませたりします。しこりとして体内に吸収せず残ってしまったケースでは、ヒアルロン酸溶解剤を注入し、溶かすという方法もあります。
・頻度は低いものの、注入により血液の流れが中断され、血流障害が起きる場合があります。その結果、非常にまれですが、皮膚が壊死することもあります。注入中や直後、施行後しばらくしてからの激しい局所の痛み、皮膚の色が変化してくるなど症状がある場合には、主治医に相談しましょう。

このように、美容の分野でも注目を集めているヒアルロン酸ですが、美容整形をするのに抵抗を感じる方もいることでしょう。そこで、次回『知ってる?ヒアルロン酸【食べて摂取編】』では日常生活でヒアルロン酸を効果的に摂取する方法をご紹介していきます。

『知ってる?ヒアルロン酸【食べて摂取編】』

文/品川美容スタッフ

category