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美容や体調管理を目的に、リンパマッサージを経験したことのある人は多いと思います。
むくみ解消によいなどといわれますが、実際のところどのような効果が期待できるのでしょうか?
リンパマッサージの効果や正しい方法をご説明します。

そもそも「リンパ」とは?

リンパ管人体

ヒトの身体は37兆個もの細胞で構成されているといいます。そして、一つ一つの細胞は、毛細血管を流れる血液から酸素や栄養を取り込んでいます。

同時に、細胞からは不要となった老廃物が排出されますが、これを回収するのも血液です。なかでも、血液中の水分である「アルブミン」は、老廃物を多く引き寄せることができます。老廃物を回収した血液の大部分は毛細血管に戻っていきますが、一部は毛細血管の周りにあるリンパ管に流れていきます。このリンパ管を通る血液などの体液が「リンパ液」です。

リンパ液は、全身のリンパ管にある「リンパ節」を経由しながら、右上半身のリンパ液は「右リンパ本幹」を、左上半身と左右の下半身のリンパ液は「胸管」を通って、最終的には鎖骨の下あたりで静脈と合流します。

このようなリンパ液、リンパ管、リンパ節などをあわせて、専門的には「リンパ系」といいます。このうち、リンパ節はフィルターのような役割も備えていて、ウイルスや細菌などをチェックし、身体を守る免疫機能としても重要な働きを持ちます。

ところで、むくみなどは男性よりも女性に多い悩みとして知られていますが、これは筋肉量の違いによるものです。なぜなのでしょうか。

女性はとくに気をつけたいリンパの悪循環

女性の足

血液は、心臓が持つポンプ作用の働きで全身を循環しています。また、心臓ほど強い力ではありませんが、ふくらはぎにも筋肉によって血管を収縮させ、血液の流れを促す「筋ポンプ作用」があります。とくに下肢は、重力に逆らって血液を心臓に戻す必要があるため、この筋ポンプ作用は重要な役割を果たします。

一方でリンパ管には、心臓のような強いポンプは備わっていません。ですから、ふくらはぎの筋ポンプ作用や、全身の筋肉の力を借りながら、血液よりもゆっくりとしたスピードで全身を流れています。

男性に比べて筋肉量が少ない女性は、ふくらはぎの筋ポンプ作用も弱く、リンパの流れが滞りがちです。さらに、運動不足などで筋肉量が落ちていると、よりいっそう循環が悪くなり、むくみなどの症状が出やすくなります。とくに足は重力の影響でリンパの流れが滞りがちな場所です。

足のむくみに悩まされる女性が多いのはこのためです。また、性別に関わらず、一般的に年齢を重ねると筋肉量は減少しますので、高齢者もリンパの流れは悪くなります。

リンパの流れが悪くなると、どうなる?

むくんでいる女性の足

細胞の老廃物を含むリンパ液は、最終的には静脈へと合流し処理されます。ところが、リンパの流れが滞ると、老廃物がなかなか流れていかず、身体に蓄積されてしまいます。

その結果、身体のリンパや血液の流れが悪くなり、むくみやだるさ、疲れやすい、冷え、肩こりなどの不調が起こりやすくなります。

ちなみに、がんの手術でリンパ節を切除するなどの治療が行われると、その影響でリンパの流れが滞り、病的なむくみが出ることがあります。これは「リンパ浮腫」と呼ばれ、専門的な治療が必要になります。

リンパの流れをよくするためには

タンパク質豊富な食べ物

このように、リンパの流れが悪くなることは、むくみをはじめ、さまざまな不調の原因となります。そこで、リンパの流れをよくする方法をご紹介します。

質のよい睡眠

心臓のような強いポンプ作用を持たないリンパ管は、とくに日中は重力の影響で流れが悪くなりがちです。重力の影響が弱くなるのは、横になっているとき、つまり睡眠中です。
睡眠時間をしっかり確保し、日常的に6~7時間半の睡眠を確保できれば、リンパの流れは回復するといわれています。さらに、良質な睡眠はリンパの流れをよくするだけではなく、疲労回復やさまざまな不調を改善するうえでも重要です。

食生活の見直し

食生活では、特にたんぱく質の摂取がポイントです。
なぜなら、老廃物を引き寄せる「アルブミン」は、肉、魚、大豆製品などのたんぱく質をもとに作られているからです。また、リンパ液は筋肉の力を借りて流れていますので、この点でも、筋肉のもととなるたんぱく質は重要なのです。
たんぱく質の摂取を意識しながら、炭水化物やビタミン、ミネラル類など、他の栄養素もバランスよく摂れる食事を心がけましょう。

適度な運動

運動不足による筋力低下は、リンパの流れを悪くするだけではなく、冷えなどの不調にもつながります。運動が苦手な方は、激しい運動を取り入れることに抵抗があるかもしれません。ひと駅分多く歩く、エレベーターを使わずに階段を使うなど、できることから始めてみましょう。

このような生活習慣の見直しに加えて、おすすめしたい方法がリンパマッサージです。試したことがあるという人も多いと思いますが、強い力でギュッと押すのは誤った方法です。そこで、正しいマッサージ法をご紹介します。

正しいリンパマッサージでむくみを改善しよう

リンパマッサージをする女性

リンパマッサージは、「リンパドレナージ」とも呼ばれ、美容業界や医療業界でも広く取り入れられています。たとえば、リンパ浮腫のように病的なむくみに対しても、リンパドレナージが行われますが、この場合の方法は主治医に確認しましょう。ここでは、足や顔のむくみ改善を目的とした方法をご紹介します。

■準備
肩回しや腹式呼吸をして、リラックスしましょう。

■足のむくみを改善するマッサージ
(1)足首の内側に片方の手を置き、さすりあげるように、太ももまで持っていきましょう。これを数回、左右の手で交互に行います。
(2)両手を重ねて、(1)の動きを何度か行います。
(3)親指がふくらはぎの内側にくるように、両手でふくらはぎを包むように持ち、左右の親指に交互に力を入れながら、足のつけ根までさすります。
(4)親指がふくらはぎの外側にくるようにして、両手でふくらはぎを包むように持ち、左右の親指に交互に力を入れながら、足のつけ根までさすります。
(5)これを3~5セット繰り返し、反対側の足でも同様に行います。

■顔のむくみやたるみを改善するマッサージ
(1)頬全体を包むように両手を顔に置き、顎からこめかみの方へ、左右同時にやさしくさすります。
(2)両手の親指以外の4本の指を使い、口元(口角)からこめかみに向かって、左右同時にやさしくさすります。
(3)(2)の動きを小鼻から頬骨に向かって行います。
(4)同じ動きをおでこからこめかみに向かって行い、最後に4本指をそろえて左右のこめかみを軽くおします。
(5)眉間に4本の指を置き、髪の生え際にむかってさすります。
(6)4本の指を顎の先に置き、フェイスラインに沿ってさすりあげます。これを左右交互に行います。
(7)優しく持ち上げるようにして、頬全体をたたきます。

リンパマッサージを行う際の注意点

リンパマッサージ

リンパマッサージを行う際には、下記の2点に注意をして行ってください。

優しくさするように行う

細い毛細リンパ管は皮膚表面のすぐ下にあり、やさしくさするようにするだけで十分にリンパは流れていきます。手のひらや指のはらを使って、やさしく行いましょう。

むくみの裏に病気が隠れていないか、確認する

内臓やホルモンの異常によって、むくみが起こることもあります。まずは生活習慣を見直し、まったく症状が改善しないようなら、病院を受診しましょう。その結果、とくに病気などがなければ、医師に確認したうえでリンパマッサージを取り入れてください。

セルフケアで改善しない場合には

晴れた朝に椅子に座ってシャツを着た若い女性

病的なむくみではないことを確認し、生活習慣の見直しやリンパマッサージを行っても悩みが解決しないこともあります。

たとえば、顔のむくみだと思っていたら、実は加齢によるたるみだったというケース。悩みの根本原因が違いますから、リンパマッサージだけで改善を図ることは難しいでしょう。

また、足のむくみで悩む人も多いですが、いわゆるセルライトができている状態では、リンパマッサージだけでむくみを取り除くことは困難です。

このようなセルフケアで解決が難しい悩みについては、美容外科に相談してみるのも一つの方法です。医師が診察をした上で、それぞれの悩みに応じた施術を紹介してくれますので、ひとりで悩んでいるよりも効率的に解決法を見つけられます。
もちろん、施術を受ける際には、方法や費用、副作用などを確認し、自分の希望もしっかり伝えることが大切です。

セルフケアの方法として、簡単で取り組みやすいリンパマッサージを正しい方法で取り入れて、日々の健康管理に役立ててくださいね。

気になるむくみに!リンパマッサージの方法と効果のまとめ

  • 細胞からの老廃物などを回収した血液などの一部は、リンパ管に流れていくが、このリンパ管を流れる体液をリンパ液という
  • リンパ液は、リンパ節を通って鎖骨の下あたりで静脈と合流する
  • リンパ管には心臓のポンプ作用がなく、リンパ液はふくらはぎの作用や全身の筋肉の収縮によって流れているので、血液にくらべて流れが遅い
  • 女性は、男性に比べて筋肉量が少なく、リンパの流れが遅い
  • 運動不足や加齢も、リンパの流れが悪くなる一因となる
  • リンパの流れが悪くなると、身体に老廃物が蓄積し、むくみなどの不調が起こりやすくなる
  • リンパの流れをよくするためには、質のよい睡眠、バランスのとれた食事、適度な運動が必要であり、その上でリンパマッサージをするとよい
  • リンパマッサージには、症状に合わせたやり方があるが、最初に腹式呼吸や肩回しをするとよい
  • リンパマッサージはやさしくさするように行う
  • むくみは、病気の症状として現れることもある
  • リンパマッサージで改善しない場合には、美容外科での施術も解決法の一つである
文/品川美容スタッフ

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