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「レチノールピーリング」という言葉を聞いたことがありますか? 美容皮膚科などで受けられるこの治療は、高いエイジング効果を期待できるものとして今注目が集まっています。どのような治療法なのか、詳しく解説します。

レチノールピーリングはエイジングケアに特化したピーリング治療

ピーリング施術中の女性

レチノールピーリングは、ピーリング治療の一種です。
美容皮膚科などで行われるピーリング治療には、さまざまな方法がありますが、基本的には、肌に薬剤を塗り、古い角質を剥がすことで生じる効果を活用する治療法です。角質を剥がす深さにも段階があり、求める効果によって治療の程度は変わってきます。

角質層 表皮 真皮

たとえば、新たな皮膚を再生させる治療は、皮膚の外側から表皮、真皮、皮下組織という構造になっていて、一番外側の表皮の表面には角質があります。この角質を除去し、皮膚が生まれ変わる仕組みを促進させることで、新たな皮膚を再生させます。

また、皮膚を厚く剥がすことで、将来的にがんなど悪性の病気になりかねない病変を取り除く方法もあります。このほか、種類によっては、ニキビやシミ、小さいシワなどを目立ちにくくする効果も期待できます。

レチノールピーリングの特徴

桃

多様なピーリング治療の中でも、レチノールピーリングに使用されるのは、「レチノイン酸」あるいは「トレチノイン」とも呼ばれる物質です。これはビタミンAの誘導体で、アメリカでは30年ほど前から、シワやにきびの治療に高い効果を持つ薬として、広く使用されてきました。

レチノイン酸には、角質を剥がすピーリング作用はもちろん、皮脂の分泌を抑える、真皮でコラーゲンの生成を増やす、ヒアルロン酸などの分泌を増やすといった効果があります。つまり、皮膚の再生を促したり、ニキビをできにくくしたりするほか、皮膚にハリを与えて小じわを改善し、皮膚をみずみずしくするといった、お肌の若返りを期待できる物質なのです。

副作用と治療の進歩

クリームを塗る女性

レチノイン酸は高い効果を期待できる一方で、薬の作用がとても強いという難点もあります。
誤った使い方をすると肌が赤くなったり、しみて痛みをともなったり、ひどい場合は血がにじんだりするケースも見られます。そのような状況もあって、日本ではまだ認可されていませんが、海外の製品にさらに改良を加えるなどして、治療に使ったり処方したりしている医療機関もあります。

また、化粧品の中には、「レチノール」や「レチニールエステル」などを配合し、若返り効果を謳っている高価な製品も見受けられます。しかし、これらを外用で使う場合は、レチノイン酸のおよそ100分の1程度の生理作用しかないと考えられていて、有効な効果は期待できないのが実情です。

そうした中、近年、医療技術が進歩し、赤みなどの副作用がより少ないレチノールピーリングという治療法が登場しました。

レチノールピール治療とは?

ピーリングされている女性

最近美容皮膚科などで採用されはじめた「レチノールピール」治療とは、レチノイン酸に変化する前段階の物質である「レチノール誘導体」をナノカプセルに入れ、肌に浸透させる方法です。
表皮の中でレチノール誘導体がレチノイン酸へと変化するため、肌に刺激を与えず、有効な作用を発揮させることが期待できます。

レチノールピールの効果・特徴

レチノールピールは即時効果を持つレチナール、持続効果を持つレチノール、遅延型効果を持つレチニールという3種類をバランスよく配合しているため、従来のレチノールピーリングに比べて副作用がでにくく、高い効果を期待できるとされています。

板井 医師

レチノールピールの作用を細かく説明すると、

●表皮のターンオーバーを促進し、皮膚の再生を促すので肌のキメが整います。また、ヒアルロン酸の分泌を増やし、皮膚をみずみずしくします。
●真皮でコラーゲンの生成を増やし、皮膚の張りをもたらし、小じわや毛穴を改善します。
●皮脂腺の働きを抑え、皮脂の分泌を抑えることで、脂性肌を改善し、ニキビができにくくなります。
●角質層が回復し、バリア機能が改善し、乾燥・赤み・シミ・くすみなどを減少させます。

亜鉛やヒアルロン酸の成分が配合されているものでは、ニキビ、シミ、シワの改善といった、トータルなエイジングケア効果を望めるようになってきています。

このような施術は、4週間に1回の間隔で5回程度が目安です。過去にレチノールピーリングで副作用が出て断念した人でも、安心・安全に試すことができます。

板井 医師

レチノールピールは、レチノイン酸(トレチノイン)による強力な肌質改善効果があります。その上、肌への負担を最小限に抑えたとても優れたピーリングと言えます。
「トレチノイン酸」と言う聞き慣れない言葉が出てくると、少し難しく感じるかもしれませんが、レチノールピールは、すごく簡単に言うと「肌質改善の効果は強いのに、肌への負担は少ないピーリング」です。

患者様に「お肌のために何か一つだけをずっと続けるとしたら、何をやったら良いんですか?」と聞かれることが時々あります。レチノールピールだけでほとんどの人のお肌の悩みに対応できますので、何か一つをずっと続けたいと言う方にもおすすめです。

レチノールピーリングの注意点

レチノールピーリングは、お肌に悩みを抱えている人や肌質の改善を目指す人にとって、とても魅力的な治療法ですが、次のような場合は治療を受けることができませんので、注意が必要です。

・2週間以内にほかのピーリングの施術を受けている
・施術を希望するところに、皮膚疾患や感染症を患っている
・出血性の疾患を発症している
・糖尿病である
・ヘルペスウイルスによる病気を発症している
・妊娠または授乳中

また、ハイドロキノンやトレチノインを含むクリームなどを使用している場合は、施術の前後2週間は使用を控える必要があります。

このように、改良が重ねられているピーリング治療ですが、有効性の高い治療法であるからこそ、副作用のリスクもともないます。リスクをできるだけ避けるためには、希望する治療の説明をよく聞いて、本当に自分の肌に合っているか医師に確認することが大切です。
美容医療の技術が目覚ましく進歩している今、正しい情報を知り、理想の肌づくりに役立てましょう。

肌の若返り効果に期待!レチノールピーリングとは?のまとめ

  • ピーリング治療は、肌に薬剤を塗り、古い角質を剥がすことで生じる効果を活用する治療法である
  • レチノイン酸は、アメリカでは30年程前からシワやニキビ治療に使われている
  • レチノイン酸には、肌の再生を促したりシミを改善したりする効果があり、若返りが期待できる
  • 高い効果が期待できる反面、肌が赤くなるといった副作用がでる可能性もある
  • 医療技術が進み、副作用が少ないレチノールピーリングの方法も登場している
  • レチノールピールは、レチノール誘導体をナノカプセルに入れて肌に浸透させる
  • 肌への刺激を減らし、高い効果を期待できるため、副作用に悩まされた過去を持つ人も試すことができる
  • 禁忌事項もあるため、レチノールピーリングを希望する場合は医師に相談をする
  • 美容医療の進歩は目覚ましいので、正しい情報を知り、理想の肌づくりに役立てることが大切である
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この記事の監修ドクター

品川美容外科 新宿院
板井 徹也医師

  • 日本美容外科学会会員
  • 日本美容外科学会認定 美容外科専門医(JSAS)
  • VST認定医
  • ジュビダームビスタ®ボリューマXC認定医
  • ジュビダームビスタ®ボリフトXC認定医
文/品川美容スタッフ

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